多汗症に関連する神経症の症状として、書痙も挙げられると思います。
書痙は「しょけい」と読みますが、人前でサインをする時などに手が震えてしまうという症状を言います。
結婚式や葬式などの記帳の際に手が震えて、思うように字を書けないと悩むことが多い症状です。
中には宴会の時にお酒を注いでもらう手が震えてしまうとか、来客の時にお茶を出す手が震えてしまうと悩む人もいます。
要するに人前で何かの動作をする時に手が震えてしまう症状だと言って良いと思います。
このため、床屋さんとか、歯医者さんで書痙に悩んでいる人も多いものなのです。
はさみやカミソリを持つ手が震えてしまうということで仕事に支障が出てしまう床屋さんも中にはいます。
こういう形の書痙に悩む人が今でも多いのですが、今は手の震えの症状のために病院に行くと、本態性振戦とか、パーキンソン病と診断されてしまうことも多いようです。
そして、このために手の神経の手術をされたり、パーキンソン病の薬を処方されたりということで、かえって症状を長引かせてしまう人も多いと思います。
特にパーキンソン病の薬の場合は副作用が強いですから、元は手の震えのために飲んだにも関わらず、薬の副作用で思うように立ち上がれないとか、姿勢が前屈みになり、一人で歩けなくなってしまう人もいるものなのです。
ですから、手の震えだけの問題であり、人前でなければそれほど症状が出ないということであれば、むやみに薬を飲んだりしない方が良いと思います。
なお、書痙の場合も、森田療法の考え方を身につけていく中で、手の震えに対する「とらわれ」が薄れてくれば、この結果として、少しずつ症状が改善してくるものなのです。
ただ、このためには、ある程度の時間をかけて森田療法の学習をし、森田の考えを身につけていくことが必要になってきます。
つまり、手術をしたり薬を飲めば、これですぐに治るという単純なものではないのです。